「どちらも”話を聞いてもらう”サポートのようだけど、自分にはどっちが合うんだろう…」
そんな疑問や不安を抱えていませんか?
プロのコーチが両者の違いをわかりやすく解説します。結論から言えば、目的とアプローチがまったく異なります。この記事を読めば、自分に必要なのはどちらか、迷わず選べるようになります。
ざっくり見出し
コーチングとカウンセリングの違い|比較表で簡単に理解
まずは両者の違いを表にまとめてみました。詳細を読み進める前に、まずはざっくりと理解をしておきましょう。
比較項目 | コーチング | カウンセリング |
---|---|---|
時間軸 | 未来志向 | 過去・現在志向 |
目的 | 目標達成・可能性の拡大 | 問題解決・心の安定 |
アプローチ | 行動促進・質問主体 | 感情整理・傾聴主体 |
主な技法 | 傾聴・質問・フィードバック | 傾聴・共感・受容 |
効果 | 習慣化・成果創出 | 安心感・自己理解 |
適した状況 | 成長意欲・目標がある時 | 心の負担・悩みがある時 |
なんとなく、違いがわかったことと思います。これから詳細に記載をしていきますが、この記事を読むことで、あなたの状況に最適なサポート方法が明確になり、次のステップを踏み出す勇気が湧いてくるでしょう。
コーチングとカウンセリングの違い|3つの視点から比較
サトウが10年以上コーチとして活動してきた経験から言えるのは、コーチングとカウンセリングは「似て非なるもの」ということ。見た目は似ていても、内側はまったく異なります。その違いを3つの視点から解説します。
① 目的の違い:カウンセリングは「心のケア」、コーチングは「目標達成のサポート」
カウンセリングの主な目的は「心の傷や問題の解決」です。心理的な苦痛を和らげ、安定した精神状態を取り戻すことが最優先されます。例えば、長期間の不安や抑うつ、トラウマなどの解消を目指します。
一方、コーチングは「目標達成の支援」が目的です。現状から理想の未来へ向かうための行動計画を立て、実行に移すサポートをします。「部下の育成スキルを高めたい」「副業を立ち上げたい」といった具体的なゴールに対して、どう行動すれば良いかを共に考えていきます。
② アプローチの違い:カウンセリングは過去の感情や悩みに向き合い、コーチングは未来の行動にフォーカス
カウンセリングとコーチングでは、そのアプローチ方法が根本的に異なります。
カウンセリングは、過去の問題や原因に遡りながら現在の状態に至った理由を探るアプローチをとります。例えば、「なぜ今の状況になったのか」という過去の出来事や感情に焦点を当て、その整理を通じて心の安定を取り戻すことを目指します。
一方、コーチングは未来志向で、具体的な行動計画を立てて目標達成をサポートするアプローチ。「これからどうなりたいか」「そのためには何をすべきか」といった未来の行動にフォーカスし、クライアントが持つ可能性を最大限に引き出すことを重視します。
③ 対象の違い:カウンセリングはメンタルが不安定な状態も含むが、コーチングは基本的に”健康な人”が前提
カウンセリングは、精神的に落ち込んだ状態から健康な状態へ戻すことが主な目的です。カウンセラーは相談者の話を否定することなく傾聴することで、相談者が「これでいいんだ」と自分を肯定された気持ちになり、癒され回復していくことを重視します。
これに対して、コーチングは“今この瞬間”の自分から理想の状態に向けて進む支援であり、現在の自分を起点に変化を起こしていきます。そのため、コーチングを受ける人は基本的に精神的に健康な状態であることが前提となります。
よく例えられるのは、「マイナスをゼロに戻すのがカウンセリング、ゼロからプラスに向かうのがコーチング」という表現です。この点が両者の最も根本的な違いと言えるでしょう。
自分に合うのはどっち?迷ったときの判断基準
「カウンセリングとコーチング、私はどちらを受けるべきだろう?」と迷うことはよくあります。ここでは、あなたの状況に合わせた選び方をご紹介します。
「モヤモヤしてやる気が出ない」→過去に原因があるならカウンセリング
もし以下のような状況に心当たりがあれば、カウンセリングを検討してみることをオススメします。
- 日常生活に支障が出るほどの不安や落ち込みがある
- 過去のトラウマや辛い経験が今の状態に影響している
- なぜか自分を責めてしまったり、自己否定的な思考が強い
- 感情のコントロールが難しく、日々の生活に支障がある
心理状態がマイナスの場合や、精神的な病気が疑われる場合は、カウンセリングの利用が適しています。カウンセラーとの対話を通じて、自分の感情や思考パターンを整理し、健康的な状態を取り戻すことが先決です。
「やりたいことはあるけど進まない」→未来志向ならコーチング
次のような状況であれば、コーチングが効果的でしょう。
- 目標や夢はあるけれど、具体的な行動に移せていない
- 自分の可能性をもっと広げたい、成長したいと考えている
- キャリアアップや新しいプロジェクトに取り組みたい
- 自分の強みを活かす方法を見つけたい
特にキャリアアップ、自己啓発、リーダーシップの向上、チームマネジメントの改善などを目指す場合、コーチングが有効です。コーチとの対話を通じて、自分自身の可能性に気づき、行動に移す力を得ることができます。
無理に一つを選ばなくてもいい|組み合わせの可能性も
実はカウンセリングとコーチングには明確な境界線はありません。実際はどちらもコーチング・カウンセリングの両方で扱える部分がありますし、両方を行うカウンセラー・コーチはいらっしゃいます。
例えば、最初はカウンセリングを受けて心の安定を取り戻し、ある程度回復してから目標に向かうためのコーチングに移行する、というステップを踏むことも可能です。あるいは、同時に両方のセッションを受けることで、過去の整理と未来への準備を並行して進めることもできます。
大切なのは、今のあなたにとって何が必要かを見極めることです。無理に「どちらか一方」と決める必要はありません。
どちらを選べばいいか分からないときの具体ステップ
迷ったときは、以下の3つのステップで自分に合った選択ができます。
ステップ1:現在の悩みが「過去起因」か「未来志向」かを書き出す
まずは紙に自分の悩みや課題を具体的に書き出してみましょう。そして、それぞれの悩みに「P」(Past:過去に関連するもの)か「F」(Future:未来に関連するもの)のマークをつけてみてください。例えば、こんな具合です。
- 「震災後からずっと不安で夜眠れない」→P
- 「過去の失敗がトラウマで新しいことに挑戦できない」→P
- 「副業を始めたいけど一歩が踏み出せない」→F
- 「リーダーとしてのスキルを高めたい」→F
Pが多ければカウンセリング、Fが多ければコーチングが適している可能性が高いでしょう。
ステップ2:無料相談や体験セッションを利用して、両者を比較する
多くのカウンセラーやコーチは初回無料相談や体験セッションを提供しています。実際に話をしてみると、どちらが自分に合っているか、直感的に分かることが多いものです。
体験セッション後に以下の点を振り返ってみてください。
- 話しやすさを感じたか
- 安心感があったか
- セッション後に前向きな気持ちになれたか
- 相手の問いかけや反応が自分にとって適切だと感じたか
ステップ3:受けた後の感覚で「自分が前に進めそうか」をチェック
体験セッション後、自分の中でどんな変化があったかを観察してみましょう。
心の治療やサポート、癒しが欲しいのであれば、カウンセリングを活用し、自分の成長や変化のためのサポートが欲しいのであれば、コーチングを活用することが適切です。
セッション後に「少し心が軽くなった」と感じたならカウンセリング、「やるべきことが明確になった」と感じたならコーチングが向いているかもしれません。
私の体験談:コーチングで人生が変わった実例
震災後に感じた無力感
サトウは東日本大震災後、強い不安と無力感に襲われました。「今の会社が倒産したらどうしよう」「もし失業したら、家族を養えなくなる」という恐怖が日に日に強くなり、夜も眠れなくなっていました。
本当は独立して自分のビジネスを始めたいという方向にシフトしていくのですが、実績も経験もない、その一歩が怖くて踏み出せないという状況に陥ってしまいました。
カウンセリングとコーチング、それぞれから得たもの
最初は心の不安を解消するためにカウンセリングを受けました。カウンセラーは私の話をじっくり聞いてくれ、「そう感じるのは自然なことです」と受け止めてくれました。震災という非日常的な出来事に対する反応として、不安を感じるのは当然だと理解できるようになり、少しずつ心が落ち着いてきました。
心の安定を取り戻した後、今度は前に進むためにコーチングを受けることにしました。コーチは「何があなたを止めているのですか?」「失敗したらどうなると思いますか?」といった質問を投げかけてきました。
この問いかけによって、実は「失敗」そのものよりも「周囲からの評価」を恐れていたことに気づきました。コーチとの対話を通じて、小さなステップから始める具体的な行動計画を立てることができたのです。
初めて将来に向かって踏み出せた瞬間
コーチングを通じて立てた計画に沿って、まずは副業として小さな仕事を受けることから始めました。最初は不安でしたが、一つひとつ成功体験を積み重ねることで自信がついていきました。
コーチとの定期的なセッションでは、進捗を確認し、次のステップを一緒に考えてもらいました。「どうすれば」という解決策よりも、「なぜやりたいのか」という根本的な動機を掘り下げてもらったことで、困難に直面しても諦めない力が生まれました。
1年ほど本業と並行して進めていき、ついに会社を辞めて独立する決断ができたのです。振り返ると、両者のサポートの内容がサトウにはあっていたかなと感じています。
まとめ|大切なのは「今のあなたに合う支援を選ぶこと」
コーチングもカウンセリングも、どちらも素晴らしい支援方法です。大切なのは「今のあなたに合っているかどうか」です。
心の深い傷や不安を抱えているなら、まずはカウンセリングで自分を癒すことから始めるのが良いでしょう。一方、すでに目標は明確で、それに向かって一歩を踏み出したいと思っているなら、コーチングがその背中を押してくれるはずです。
どちらを選ぶにしても、相性の良い専門家と出会うことが最も重要です。複数の方と体験セッションをしてみて、「この人となら一緒に歩んでいける」と感じる相手を選びましょう。
もしコーチングに興味があれば、まずは気軽に体験してみてください。自分を動かす感覚を知る、最初のセッションでは、あなたの中にある可能性が目覚めるかもしれません。