コーチングを学び始めたばかりの方や、これから体験してみたい方にとって、こんな疑問を抱くのは自然なことです。実は、効果的なコーチングには3つの基本原則があります。それが 「インタラクティブ(双方向性)」「オンゴーイング(継続性)」「テーラーメイド(個別対応)」 です。
この3つの原則は、信頼されるコーチになるために押さえておくべき「土台の考え方」。スキルやテクニックよりも、まずはこの原則を理解することで、セッションの質が劇的に変わります。
ざっくり見出し
コーチングの3原則とは?意味と重要性を初心者向けに解説
コーチングを成功させるための3つの原則について、それぞれ詳しく解説していきます。
- インタラクティブ(双方向性)
- オンゴーイング(継続性)
- テーラーメイド(個別対応)
インタラクティブ(双方向性)とは
インタラクティブ(双方向性) とは、コーチとクライアントが対等で、一緒に答えを見つけていく関係性のことです。
従来の指導方法では、先生が知識を一方的に教え、生徒は受け身で聞くという構造でした。しかし、コーチングでは全く違います。コーチは答えを教えるのではなく、クライアント自身が答えを見つけられるよう対話を通じて支援します。
例えば、部下が「プレゼンが苦手で困っています」と相談してきた時を例にとると、こんな具合です。
- 従来の指導:「こうやって話せばいいよ」と具体的な方法を教える
- コーチング:「どんな時に苦手だと感じますか?」「うまくいった経験はありませんか?」と質問を投げかける
この双方向のやり取りにより、クライアント自身が「自分なりの解決策」を発見できるのです。
オンゴーイング(継続性)とは
オンゴーイング(継続性) とは、単発ではなく継続的なセッションの中で変化を定着させていくアプローチです。
人の行動や思考パターンは、一度のセッションで劇的に変わるものではありません。新しい気づきを得ても、日常に戻ると元の習慣に引き戻されがちです。だからこそ、継続的な関わりが必要なのです。
継続的な関わりの生み出す効果は計り知れません。
- 振り返りの機会:前回のセッション以降の変化を確認できる
- 調整とサポート:うまくいかない部分を一緒に見直せる
- 習慣の定着:新しい行動パターンが根付くまで支援できる
多くのプロコーチが3〜6ヶ月の継続契約を基本とするのは、この原則に基づいているからです。
テーラーメイド(個別対応)とは
テーラーメイド(個別対応) とは、クライアント一人ひとりに合わせて支援内容を設計することです。
同じ「売上を上げたい」という目標でも、人によって状況は全く違います。例えば、以下のような違いがあるでしょう。
- Aさん:営業経験豊富だが、新規開拓が苦手
- Bさん:人との関わりは得意だが、営業の仕組み作りができない
- Cさん:商品知識は十分だが、自信を持って提案できない
このように背景や課題が異なるため、一律のテンプレート指導では効果が限定されます。テーラーメイドなアプローチでは、その人の個性、価値観、生活環境、目標レベルまで考慮して、最適な支援方法を選択します。
よくあるコーチング3原則との違いは?NLP系との比較で解説
コーチングの原則について調べると、他にもさまざまな「3原則」が紹介されています。混乱を避けるため、違いを明確にしましょう。
一般的なNLP系の3原則との比較
よく知られているのは、NLP(神経言語プログラミング)系のコーチングで重視される原則です。
- ラポール(信頼関係)
- 傾聴
- 質問
これらは確かに重要なスキルですが、今回ご紹介した原則とは視点が異なります。
スキル重視vs構造・方針重視の違い
NLP系の3原則は、「どんなスキルを使うか」に焦点が当たっています。
- ラポール:どう信頼関係を築くか
- 傾聴:どう話を聞くか
- 質問:どんな質問をするか
今回のコーチングの3原則は、「どんな構造・方針でセッションを進めるか」に焦点が当たっています。
- インタラクティブ:一方通行ではなく双方向で
- オンゴーイング:単発ではなく継続的に
- テーラーメイド:画一的ではなく個別に
どちらも大切ですが、まずは「セッション全体の設計思想」を理解することで、個別のスキルも効果的に活用できるようになります。
コーチング3原則へのよくある疑問に答えます
コーチングの3原則について、よく寄せられる質問にお答えします。
「一方的に話すだけで意味あるの?」
この疑問は、コーチングの「双方向性」を誤解している場合に生じます。コーチングでは、確かにクライアントが多く話します。(80:20でクライアントが多く話すことが推奨される)
ただ、クライアントが一方的に話すことはありません。コーチとの対話していくサイクルの中で、相互作用があるからです。
- クライアントが話す
- コーチが質問や確認をする
- クライアントがさらに深く考える
- 新しい気づきが生まれる
このサイクルが「双方向性」の本質です。受け身で話を聞くだけでは、真のコーチングは成立しません。
「単発セッションじゃダメなの?」
単発セッションにも価値はありますが、継続セッションとは効果が大きく異なります。
単発セッションの効果は、以下のようなものです。
- その場での気づき
- 新しい視点の獲得
- モチベーションの向上
一方で、継続セッションの効果は、以下のようなものがあります。
- 行動の変化と定着
- 困難な状況でのサポート
- 長期的な成長の実現
気づきを得るだけなら単発でも十分ですが、実際に人生やビジネスを変えたいなら継続性が不可欠です。
「テンプレ指導じゃだめなの?」
テンプレート的な指導にも一定の効果はありますが、限界があります。
テンプレート指導の限界は、たとえば以下のようなものです。
- 個人の状況に合わない場合がある
- 本人の内発的動機につながりにくい
- 応用が利かない
個別対応をすることで、得られる効果は以下のようなものです。
- その人に最適な解決策が見つかる
- 自分で考える力が身につく
- 様々な状況に応用できる
真の変化は、「その人の状況に応じた問いかけ」から始まります。
今すぐできる具体アクション
3つの原則を実際のセッションで活用するための、具体的な方法をご紹介します。あなたが初心者のコーチだったとしても、以下の点を意識すると価値の高いコーチングへと変わっていきます。
双方向性を高める実践法
すぐできること: 話を聞いた後、必ず「どう感じましたか?」「どう思いますか?」と返してみましょう。
クライアント:「最近、部下とのコミュニケーションがうまくいかなくて…」
コーチ:「そのことについて、どんな気持ちになりますか?」
「うまくいかないというのは、具体的にはどんな状況ですか?」
相手の話を「受け止めて終わり」ではなく、必ず「相手の内面」に向けた質問を投げかけることで、双方向性が生まれます。
継続性を意識したセッション設計
すぐできること: まずは「2回以上」継続して関わる設計にしてみましょう。
1回目:現状の整理と目標設定
2回目(1〜2週間後):行動の振り返りと調整
必要に応じて3回目以降を検討
2回目があることで、クライアントは「実際に行動してみよう」という意識が強くなります。また、うまくいかなかった場合のフォローも可能になります。
個別対応のための準備方法
すぐできること: セッション前に「相手のゴール・背景・言葉づかい」をメモしておきましょう。
【クライアント情報】
・名前/呼び方:
・職業・立場:
・主な関心事:
・使用する言葉の特徴:
・今回のセッションのゴール:
・前回からの変化:
この情報をもとに、その人に最適な質問や例え話を準備することで、テーラーメイドなセッションが実現できます。
まとめ・行動喚起
コーチングで結果を出すためには、スキルやテクニックの前に「関わり方の原則」を意識することが大切です。
- インタラクティブ(双方向性):一緒に答えを見つける関係性
- オンゴーイング(継続性):変化を定着させる継続的な関わり
- テーラーメイド(個別対応):一人ひとりに合わせた支援設計
この3つを意識するだけで、あなたのセッションの質が大きく変わります。完璧を目指す必要はありません。まずは1つ、明日のセッションに取り入れてみてください。
コーチングって、どんな考え方で進めればいいんだろう…