そんな悩みを持つ方へ。実は、どんなスタイルのコーチでも共通して求められる基本スキルがあります。
この記事では、初心者のうちに押さえておきたい「3つの力」とその鍛え方を解説します。今後の学びを深める上でも、まずはこの3つを身につけることが、信頼されるコーチへの第一歩になります。
ざっくり見出し
コーチングに必要なスキルはこの3つ【結論】
コーチングで成果を出すために必要なスキルは、実はとてもシンプルです。複雑な理論や高度なテクニックの前に、まず押さえるべき基本の3つをご紹介します。
これら3つの基本スキルを順に解説していきます。まずは「傾聴力」から見ていきましょう。
① 傾聴力|”聴く”ではなく”受け取る”力
コーチングにおける最重要は「傾聴力」です。これは、単に相手の話を静かに聞くことではありません。クライアントが話す内容だけでなく、その裏にある感情や価値観まで受け止める力のことです。
ただ黙ってうなずくだけでなく、「相手の世界を一度、自分の中に入れる」ような姿勢が求められます。
- 相手が「忙しくて時間がない」と言った時、表面的な時間管理の話ではなく、その背景にある「周りに期待されたい」「断るのが苦手」といった心境まで察知する
- 声のトーンや間、表情の変化から、言葉に表れない本当の気持ちを読み取る
- 相手の価値観や大切にしていることを、会話の端々から拾い上げる
② 質問力|答えを導く”問い”を立てる力
コーチングにおける質問は、単なる情報収集ではありません。「あなたはどうしたいですか?」「なぜそれを選んだのですか?」といった問いを通じて、相手の思考を深めていくスキルです。
アドバイスや指示ではなく、問いによって本人の気づきを引き出すのがコーチの役割です。
- 「もしその制約がなかったら、何をしたいですか?」
- 「そのとき、あなたの中で何が一番大切でしたか?」
- 「理想の状態になったとき、どんな気持ちだと思いますか?」
これらの質問は、相手に新しい視点や気づきをもたらし、自発的な行動につながります。
③ フィードバック力|相手の可能性に光を当てる
フィードバック力とは、行動や発言の中にある強みや変化を言語化し、鏡のように返す言葉のことです。
否定や批判ではなく、「事実」と「成長の兆し」にフォーカスしたフィードバックは、クライアントの行動を後押しします。
- 「今日は最初より表情が明るくなりましたね」(変化の観察)
- 「その発想、すごく独創的ですね」(強みの指摘)
- 「躊躇しながらも、最終的に決断されたのは素晴らしいです」(成長の承認)
よくある不安とその処方箋
コーチングスキルを身につける過程で、多くの方が抱く不安があります。ここでは、代表的な3つの不安とその解決策をお伝えします。
Q. 「傾聴って、ただ黙って聞けばいいの?」
A. 違います。言語情報/非言語情報の両方を受け取りましょう。
ただの相づちでは、相手に「受け止められている」とは感じてもらえません。大事なのは、”理解しようとする姿勢”を示すことです。
- 相手の言葉を部分的に繰り返す(「忙しいんですね」)
- 感情に寄り添う一言を添える(「それは大変でしたね」)
- 「もう少し詳しく教えてもらえますか?」と関心を示す
これだけで、信頼感は大きく変わります。完璧を目指さず、まずは「興味を持って聞く」ことから始めましょう。
Q. 「質問がうまく出てこない…」
A. 完璧な質問をしようとしなくて大丈夫。質問から思考を深められればOKです。
あらゆる場面に使える完璧な質問はありません。むしろ、クライアントの言葉に「興味を持つ」ことが出発点です。今、何を考えているのか?その理由は?というシンプルな問いが、気づきの引き金になります。
- 「今、どんな気持ちですか?」(感情を聞く)
- 「それについて、どう思いますか?」(考えを聞く)
- 「もし○○だったら、どうしますか?」(仮定で聞く)
相手の話に真剣に耳を傾けていれば、自然と「なぜ?」「どのように?」という疑問が湧いてくるものです。
Q. 「フィードバックすると否定っぽくなってしまう…」
A. 視点を”間違い探し”から“伸びしろ探し”に変えましょう。
できていないことばかりを見ると、フィードバックが否定的になってしまいがち。できていること・前進したことを見つけ、それを伝えるだけで、信頼もモチベーションも大きく高まります。
- 「前回と比べて、今日はとても具体的に話されていますね」
- 「迷いながらも、自分の気持ちを正直に話されたのが印象的でした」
- 「そのアイデア、実現可能性も高そうですね」
まずは「今日良かったところ」を1つでも見つけて伝える習慣をつけましょう。
スキルを鍛えるための具体アクション
理論を学んだだけでは、コーチングスキルは向上しません。ここでは、実際にスキルを伸ばすための具体的な練習方法をご紹介します。
1. コーチングの「記録」を取る
セッションごとに、自分が使った質問・聴き方・フィードバックをメモしましょう。その中で「よかった点」「もっとこうすればよかった点」を振り返るだけで、学びは何倍にも深まります。
記録のポイント
- どんな質問をしたか
- 相手はどんな反応を示したか
- 自分はどう感じたか
- 次回改善したいこと
この振り返りを続けることで、自分の成長パターンや課題が明確になります。
2. ロールプレイで実践練習する
実際に仲間とロールプレイを繰り返すことで、「型」を体で覚えましょう。オンラインでも可能なので、週1回でも継続的に練習する場を作ると効果的です。
ロールプレイの進め方
- 15分間のミニセッションを実施
- コーチ役・クライアント役・観察者役を交代で体験
- 終了後、良かった点と改善点をフィードバックし合う
安全な環境で失敗できることが、スキル向上への近道です。
3. 音声で”自分のコーチング”を振り返る
録音したセッション音声を聞き直すと、自分のクセや無意識の反応に気づけます。特に「沈黙の扱い方」「問いの深さ」は音声で振り返ると学びが深まります。
音声振り返りで注目すべき点
- 自分が話している時間と相手が話している時間の比率
- 質問のタイミングや内容
- 相手の感情の変化に対する自分の反応
客観的に自分のコーチングを見ることで、改善すべき点が明確になります。
まとめ:今日から始められる一歩
コーチングに必要なスキルは、特別な才能ではなく「誰でも伸ばせる技術」です。
まずは「傾聴・質問・フィードバック」の3つに意識を集中し、小さな実践を積み重ねましょう。
今日からできる3つの実践アクション
今日から始められること:
- 家族や友人との会話で、5分間アドバイスせずに聞く練習をする
- 「どう思う?」「どんな気持ち?」という質問を1日1回使ってみる
- 相手の良いところを1つ見つけて言葉にして伝える
もし学びに伸び悩みを感じていたら、自分のセッションを振り返る時間をつくることから始めてみてください。
あなたのコーチングが、もっと信頼され、変化を生み出せるものになりますように。
コーチングを学び始めたけれど、何を意識すれば上達するんだろう?