『なんでこんなに言っているのに分かってくれないんだ!!』
上司部下・同僚のような仕事の関係に限らず、恋人同士や親兄弟でも、意見の食い違いはしばしば起こりますよね。人間関係のストレスの原因にもなる『意見の食い違い』ですが・・・悪いことばかりではありません。
「アイディア出し」はむしろ、意見が食い違った方が良いのです。
ざっくり見出し
そもそも他人は「自分とは違う」のが当然
自分の周りにいる人は、基本的には自分と価値観が似ている人です。
「いやいやいやいや、そんなこと全っっっ然ない!!」
と思う方もいるでしょうが、事実です。客観的に見たら、同じですよ。会社員時代のサトウだったら、東京のIT系の会社に入って10年目の33歳の男。周りにいた同期や同僚と比べたら、ほとんど一緒じゃないですか。
あるいは、同じ親から同じように生まれ、同じ家に住み、育ってきた兄弟。ほとんど一緒。
ここまで同じような人同士でさえ、意見の食い違いは起こります。環境も生活レベルも大差ないのに、ふとしたことで食い違いが起こる、そういうものなのです。同じように考えてもらうことは、諦めるしかないです。
個人の経験・体験は絶対にみんな違うし、周りの友達やそのコミュニティも違う。そしてそこで身についた『自分の大切にしていること』が違う。だから、他人は『自分とは違う』のは当然のことなのです。
同僚や兄弟と言えど、その違いが考え方の違いになり、意見の食い違いになります。ましてや、性別が違ったり年齢が違えば、同じように考えられるはずがありません。
アイディア出しは、一人でやってはいけない
大事なのは、その『違い』を理解し、その『違い』に価値を感じられるかどうか。
例えば、アイディア出しのような場面では、その違いにこそ価値があります。
自分一人の思考パターンは、とても限られています。近しい価値観の人の、ちょっとした意見の食い違いにも腹を立てるほどですから。ひとりでやった仕事は、丁寧にやったつもりでも、客観的に見ると穴だらけだったりします。他人の眼から見たら、簡単に見つけられることさえ見落とすのです。
『一晩頭を冷やしてから見直せ』
『一度印刷して、客観的な目でレビューをせよ』
いろんな工夫で、なるべく様々な視点で見て、見落としを減らそうとします。ひとりで仕事をしていると、本当に限られた視点でしかモノを見れないことがよく分かります。
なので、アイディア出しは一人でやってはいけません。
『ひとりよがりのショボいアイディア』で終わってしまいます。だってそうでしょう。ちょっとした違いにも腹を立てる人が、自由な発想をしようと思っても、たかが知れています。
自分一人で思い浮かぶアイディアはとても狭い。いくら広く見ようと思っても、狭い狭い世界のアイディアです。アイディア出しは、最低でも自分の見落としに気づけるように、もう一人欲しいところ。それも、自分の意見を否定するのではなく、肯定しつつも他の視点をくれる人と一緒に。
そんな、都合のいいアイディア出しが『ブレインストーミング』です。
ブレインストーミングとは、よく知られたアイディア出しの方法で、集団発想法などと言われます。
効果的なブレインストーミングの3つの原則
会社員であれば、一回は”ブレスト”やったことがあるでしょう。「ざっくばらんなアイディア出し」として、ミーティングが組まれたりして。
効果的に行うためには、以下の3つの原則があると言われています。
その1.アイディア出しに専念、判断はしない
アイディア出しに専念し、そのアイディアの是非は判断しないという原則があります。判断をしつつアイディアを出そうとすると、意見が出なくなるためです。
判断するのは、一旦自由に出して、出して、出し尽くした後。つまりブレインストーミングの次の段階で判断をするのが原則です。
その2.アイディアの量を重視する
アイディアは、数勝負。質より量を出すことを重視するという原則があります。突飛な意見、似たような意見、一見ショボい意見も何でも歓迎。量が大事です。
目標数を決めることもしばしば。目標を30個にするのか、100個にするのかで、出てくるアイディアも全然違ってきます。
その3.アイディアをパクって発展させてOK
アイディアをパクって付け足したり、別々のアイディアをくっつけたり、変化させたり、発展させてOKという原則があります。他人の意見に便乗することも推奨されています。
まぁ、何してもいいからアイディアを出せよ、ということですね。
大前提は「安心してアイディアが出せる環境」であること
これらの原則が守られていれば、効果的なアイディア出しの方法なのですが・・・
会社の会議でブレインストーミング、上手くいかない例、あなたも経験がないですか??サトウも多く体験しましたよ。
原則1に反して「そんなの出来ないだろう」と判断されたり、原則3に反して「同じような意見だな」とファシリテーターに言われてしまったり。
そもそも、立場の上のお偉いさんや、超先輩社員が腕組みしながら会議に参加をしていたり。意見を自由に出せよって言うけど、
『とてもじゃないけどそんな雰囲気じゃないだろ』
っていうこと、あるんですよ、実際。特に若手社員にとっては、あんまり会話したことのない、上司や役職のある人って、それだけで緊張しますからね。
いいアイディアが出せるように、『多様性』と謳っていろんな立場の人を参加させるのもひとつの方法ですが、大前提は「参加者全員が、安心してアイディアが出せる環境」であることです。
20人の会議とか、人数が多すぎるのも、アイディアが出ない原因です。大人数というだけで、『意見を評価される』とか『正しい意見を言わなくては』という心理が働きます。
適切な人数、適切な規模で開催するのも、『環境』になります。
コーチングでも活用できる、ブレインストーミング
そんなブレインストーミングの発想法ですが、コーチングの中で『アイディア出し』をテーマにしたときに、ブレインストーミングを行うこともあります。
新しく本を書きたい、強力な商品を開発したい、3年後・5年後の将来を膨らませたい。みんな、色々な思いを抱えています。アイディアを広げて考えたいときには、ブレインストーミングが効果的です。
サトウ自身もコーチングを受けるときによく『アイディア出し』をテーマにします。コーチの活用の方法として、アイディア出しのブレインストーミングはめちゃくちゃおススメです。
何故ならコーチとの関係性は、安全・安心の環境だから。コーチは全面的に自分を信頼し、応援してくれます。
そしてコーチは、様々な視点を持つアイディア出しのプロでもあるので、意識的に様々な意見を出そうと、コーチの経験・体験など、持っているリソースを提供するからです。
そして何より、『それめっちゃいいアイディア!』とか乗せてくれるんですよね。
『だったら、こんなアイディアもあるじゃん!』とか。
それに反応して『あーーそれだったらこうなるよね!!!』とか。
どんどん盛り上がるんです。
ひとつのことを切り口にしても、違うバックグラウンドを持ったふたりが見ると、違って見えて、違った意見が出るんです。だからこそ、アイディアに広がりを持たせることができるのです。
ブレインストーミングでたくさんの数のアイディアが出れば・・・そこから組み合わせたり、良いものを抽出したり、あとは『判断』に任せればいいだけです。
アイディア出しは、ふたり以上、適切な環境で
そんなわけで、アイディア出しをするときには、自分ひとりでやってはいけません。
安心・安全な環境を作り、ブレインストーミングの発想法でアイディア出しをしていきましょう。
きっと、みんなが持つ『違い』が最大限に活かされます。
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