クライアントの成長をサポートするコーチング。しかし、ただ漠然と「成長したい!」と望むだけでは、目標が曖昧なため、コーチングの方向性を定めることができません。
コーチングから最大限の益を得たいと思うなら、なによりも最初に「効果的なゴール」を設定し、コーチとクライアントで合意する必要があります。
そう、ゴールセッティングからコーチングは始まるのです。
ざっくり見出し
最初にゴールセッティング、ゴールを合意する
向上心があり、確実に人生をステップアップさせることができる方は、ゴールを設定するのが上手な方だと言えるでしょう。そのような方は、小さいゴールを設定するのはもちろんのこと、自分の原動力となるような大きなゴールを最初に設定しているのです。
コーチングでは最初にゴールセッティングを行って、クライアントとコーチで「そのゴールに向かうこと」を合意します。コーチングのセッションはすべて、その合意したゴールに到達する道筋になるものでなければなりません。
常にゴールを意識し、どのようにゴールに近づくかを考えます。必要な中間ゴールや目標を置き、どのようにそれらを達成するかを考え、行動すべきことを明らかにし、クライアントはその行動をとり続けます。
ゴールと夢と目標の違い、認識していますか?
混同してしまいがちな「夢」や「ゴール」や「目標」など、いろいろと言葉が出てきましたので、改めてしっかり定義しておきましょう。言葉の違いを認識していることで、「これは何についての話なのか」「何を考えているのか」ということがハッキリするのです。
夢:「こうありたい姿」や「手に入れたいもの」や「やりたいこと」
ゴール:夢に期限を設けたもの
目標:ゴールを達成するための道しるべとなる、取るべき行動
夢とは、したい、なりたい、得たい、といった願望です。欲求と言ってもいいでしょう。行動の出発点となるものです。今の自分からは少し離れたところにあるもので、直接的な結びつきは弱く、「できたらいいな」「なれたらいいな」というぐらいの認識であることが多いです。
年収3,000万になりたい、とかはこのレベルでしょう。
ゴールは、夢に期限を付けたものです。「いつまでに」という視点が入るので、一気に現実味が増します。「いつまでにどんな状態になっているか」を決めることです。前述の通り、コーチングではゴールを最初に合意し、すべてはこの到達点に向かって進めていきます。
例えば、「3年後の2020年8月31日に年収2,000万になっている」、という様にゴールを設定します。しっかり日付を入れてください。
また、細かな中間ゴールを持つと効果的です。「半年後には・・・1年後には・・・2年後には・・・」と、いくつも中間ゴールを設定し、まずは最初の中間ゴールをひたすら目指すことも良いでしょう。
目標は、ゴール達成に向かって成し遂げるべき、自分で出来ることです。自分の取るべき行動の達成水準を決めて数値化すること、と言い換えられます。
「ゴール」と「目標」が混在している人がよくいらっしゃいますが、明確に分けましょう。何故なら、自分に決定権があることと無いことがあるからです。
「年収1,000万」や「クライアント50人」といったゴールは、「結果」です。最終的には、買ってくれるかどうかはお客様の判断に委ねられています。結果はコントロールできないのです。コントロールできない結果にばかり見続けると、振り回されてしまい大変です。
しかし、自分で行うべき行動は自分でコントロールできます。100名に会って自分の商品を説明する、とか、毎日3人にメッセージを送る、ようなことは自分が頑張れば達成できます。
ゴールから目標をブレイクダウンさせるのですが、「これをやればゴールを達成できる」ということを洗い出して目標として設定し、日々の行動はその目標に沿って行うのです。
詳しくは別途説明しますが、夢とゴールと目標を分ける、ということは認識しておいてください。
定期的に確認するが、「ゴールに向かう」大方針は変わらない
コーチとクライアントがお互いに合意したゴールを設定し、それに向かって行動していきますが、行動を進めるにつれて状況は変わります。見えていなかったものがよりハッキリしたり、本当にやりたいことが分かったり、最初のゴールにズレが生じることがあります。
コーチングではゴールは定期的に、何度も何度も確認します。そのなかで違和感が生まれてきたら、必要に応じてゴール見直します。現状に合った正しいゴールに向かって進むことが何より大切なのです。
コーチングでは、自分の現状の積み重ねではなく、チャレンジングなゴールを設定するとより効果的です。高いゴール設定をすることで、自分の現状と理想(ゴール)との間のギャップを埋めようとするエネルギーが生まれ、自分の可能性を大きく広げることができます。
高いゴール設定をした場合には、自分がゴールに向かって進んでいるのかどうか把握しにくいことがあるかもしれません。だからこそ、中間ゴールを設定し、着実に進んでいるのかを確認し続けるのです。
ゴールを設定する必要性とMBOの効果
MBO(マネージメント・バイ・オブジェクティブ)について、ご存知の方も多いことでしょう。組織マネジメントの手法の一つで、「目標による管理」を意味します。
勘違いされている方も多いようですが、実はMBOとは、目標そのものを管理することではありません。目標そのものを管理する場合、上司が部下の目標をノルマとして課して管理します。この方法である程度の成果を得ることができるかもしれませんが、部下の成長が見込めないため、組織としてはすぐに頭打ち状態になってしまいます。
本来のMBOとは、部下が自分で目標を決定し、その目標に向かって主体的に行動かつ自己統制し、成果を出していくことです。この場合、部下自らが成長することができるため、組織としても大きく成長していくことが可能になります。上司の役割は、目標だけに焦点を当てるのではなく、部下に焦点を当てて、部下自らが目標達成に向けて行動できるように促すことです。
MBOの観点から見ても、コーチングのゴール設定は有益です。ゴールを設定することにより、クライアントが目標達成に向けて主体的に行動して、自らをコントロールしていくことが可能になります。
主体的に高いゴールに向かう、その道の過程で様々なことを得ることができるのです。年収3,000万円という「掲げていたゴール」だけにとどまらず、スキルが身についたり、プレゼンスが向上したり、人脈・仲間が圧倒的に増えたり、付き合う仲間が変わったり、環境が変わったり・・・
ゴールに向かう行動を積み重ねることで、クライアントは大きな成長を遂げることになるでしょう。貧弱なゴールを設定したり、あるいはゴールを設定しなかったりすると、今の自分の延長線上にある、当たり前に予想できる範囲内にとどまってしまいます。
コーチの役割は、クライアントを応援し、クライアントが自主的に行動できるよう促すことです。ゴールに向かうためにどうすべきかを一緒に考えることはしますが、ゴールに向かうために行動するのは、あくまでもクライアントの役割です。
さぁ、ゴールを設定しましょう
「お悩み解決セッション」があまり効果を出さないのは、目の前の問題だけを見てしまって、大きなゴールに向かわずにセッションを行っていないからです。
本来のコーチングは、ゴールを設定し、コーチとクライアントでしっかり合意し、お互いにこのゴールに向かっての責任を果たしていくことです。
大きなゴールを掲げ、目標に向かって行動し、経験を積み重ねて試行錯誤していく過程で、自分を成長させることがき、大きな成功を掴むことができるのです。
ゴールを設定する準備は、そろそろ始めていきましょう。
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