「副業を始めたいけれど、うちの会社って大丈夫なのかな?」
「バレたらまずいかも…」
そんな不安を抱えながらも、「でも、自分の経験を活かして誰かの役に立ちたい」そんな想いでコーチング副業に関心を持つ方が増えています。
この記事では、会社員として本業を持ちながらコーチング副業を始めたいあなたに向けて、事前に絶対に知っておくべき注意点をQ&A形式で丁寧に解説します。こうした不安を解消し、安心してスタートできるよう、具体的な対策もご紹介します。
ざっくり見出し
会社員がコーチング副業を始めるときの7つの注意点【Q&Aで完全解説】
Q1. 副業でコーチングをやると会社にバレますか?
「副業OKだけど、何となく会社にバレたくない…」と思うのは自然なことです。実際、多くの方がこの点に強い不安を感じています。副業がバレる典型的なパターンは主に3つあります。
- SNSでの発信があまりにも活発になり、同僚の目に触れる
コーチングの集客のためにSNSで情報発信するとき、思わぬところから会社の人の目に入ることがあります。特にLinkedInやFacebookでは、共通の知人や業界つながりから思いがけず発見されることが少なくありません。 - 住民税の特別徴収で会社に収入額が知られてしまう
副業の収入が20万円を超えると、翌年の住民税額に反映され、会社の給与担当者が「あれ?」と気づくケースがよくあります。数字から副業の有無が透けて見えてしまうのです。 - 業界が狭く、クライアントと会社に接点がある
特に同業界でコーチングを行うと、あなたのクライアントと会社に何らかの接点があり、思わぬところから噂が広がることがあります。「〇〇さんがコーチングをやっている」という情報は意外と早く広まるものです。
この3つのパターンに注意しつつ、具体的な対策も知っておきましょう。
- 副業届が出せる会社なら、リスクを考慮して正直に申告するのが長期的には安心
- SNSのプロフィール設定を工夫(ビジネスネームの使用、アバター/似顔絵写真を使う)
- 住民税は自分で納付する「普通徴収」に切り替える(市区町村の税務課に申請が必要)
- 守秘義務をクライアントにも明確に伝え、SNSでの言及も控えてもらう約束をする
- クライアント獲得は極力別業界から行い、本業との接点を最小化する
Q2. うちの会社、副業禁止だけど…コーチングしても大丈夫?
「就業規則で副業禁止と書いてあるけど、実際どうなの?」という疑問は多くの方が抱えています。まずは自社の就業規則の具体的な文言を確認することが重要です。
就業規則でチェックすべきポイント:
- 「一切の副業を禁止する」という絶対的な表現か
- 「会社の許可なく」という条件付きの禁止か
- 「本業に支障をきたす場合」という限定的な禁止か
- 「競業」に関する記述はあるか(競業避止義務の範囲)
多くの会社では「本業に支障をきたさない範囲」または「会社の許可を得た場合」という条件付きで副業を認めるケースが増えています。2018年に厚生労働省がモデル就業規則を改定し、副業・兼業を前向きに捉える方針に変わったことも影響していますし、その流れはどんどん加速していっています。
- 競合他社のコーチングは避ける(競業避止義務に抵触する可能性が高い)
- 本業の勤務時間・パフォーマンスに影響を与えない徹底管理
- 会社の情報や資産を副業に流用しない(情報漏洩リスクの排除)
- まずは小規模に始め、実績と収入の見通しが立ってから会社に相談する選択肢も検討
- 会社のブランドイメージを損なう活動は避ける(SNSでの過激な発言など)
「個人事業」の登録については、税務上の理由で開業届を出す場合と、実際に屋号を使って営業する場合で周囲の印象が変わります。開業届は税務署限りの情報ですが、ウェブサイトやSNSで堂々と「〇〇コーチング」を名乗ると発見リスクは高まります。
Q3. コーチング副業に資格は必要?法的に問題はないの?
結論から言うと、日本では「コーチング」という名称で業務を行うための法定資格は存在しません。この点は多くの方にとって朗報でしょう。ただし、以下のケースでは法的にグレーゾーンや違法となる可能性があるので注意が必要です。
副業コーチングが違法になりうるケース:
- 医療行為や心理療法など、資格が必要な行為を無資格で行う(臨床心理士の業務など)
- 本業の秘密保持契約に違反するような情報共有をする(機密情報の流用)
- 誇大広告や根拠のない効果を謳って集客する(「確実に年収が上がる」など)
- 課税所得を隠す(脱税行為)
- 特定の国家資格者しか行えない相談業務を無資格で請け負う(弁護士業務など)
無資格でもコーチングは基本的にOKです。しかし、グレーゾーンは避けておいた方が無難です。トラブった時に甚大な被害を被る可能性がありますから。以下を可能な限り実施しましょう。
- 「〇〇資格保持者」といった誤解を招く表現を避ける
- できれば民間の認定資格を取得しておく(ICF認定コーチなど)
- サービス内容と提供できない内容を契約書で明確にする
- 心理的な問題や医療的なアドバイスは範囲外と明示する
- 「カウンセリング」より「コーチング」という表現を使う(境界線を明確に)
コーチングの最大の特徴は「答えを与えるのではなく、クライアント自身が答えを見つけるサポートをする」という点です。この原則を守れば、多くの法的リスクを回避できます。
Q4. コーチングでお金が入ると税金どうなる?確定申告は必要?
副業収入に関する税金の扱いは、収入額によって変わります。サラリーマンの場合、年間の副業収入が20万円を超えると確定申告が必要になります。この「20万円の壁」は多くの副業コーチが最初に直面するポイントです。しっかりと覚えておきましょう。
- 年間20万円以下の副業収入:確定申告不要(ただし住民税申告は必要な自治体も)
- 年間20万円超の副業収入:確定申告が必要(期限は翌年2月16日〜3月15日)
- 経費を計上して赤字(損失)申告したい場合:収入に関わらず確定申告が必要
副業がバレることと税金の関係には、以下の2つの重要ポイントがあります。
- 住民税の徴収方法:副業の所得も合算された住民税が会社経由で徴収される「特別徴収」が一般的です。前年より住民税が突然増えると、経理担当者に不審に思われる可能性があります。バレたくない場合は「普通徴収」(自分で納付)への切替申請を早めに行いましょう。
- 青色申告のメリットと注意点:65万円の特別控除が受けられるなどメリットが大きいですが、開業届を提出する必要があり、税務署には副業を行っていることが明らかになります(ただし税務署から会社に情報が漏れることはありません)。
Q5. クライアントとトラブルになったら?副業でも責任はある?
実は、副業だからといって責任が軽くなるわけではありません。むしろ、個人で活動する分、信頼やリスク管理の意識がより重要になります。副業でも提供するサービスに対する責任は発生するため、事前の対策が不可欠です。
- 期待と現実のギャップ
:サービス内容と期待できる成果を事前に具体的かつ明確に伝え、過度な期待を持たれないよう注意する - キャンセルや返金トラブル
:「セッション48時間前までのキャンセルは半額、24時間前までは全額負担」など、キャンセルポリシーを契約前に明示する - セッション内容の解釈の違い
:セッション後のフォローメールで話し合った内容や合意点を文書化して確認する - プライバシー侵害の懸念
:個人情報の取り扱いと守秘義務について明確な約束をする - 成果が出ないことへの不満
:コーチングの成果は双方の努力によるものであり、魔法の解決策ではないことを事前に説明しておく
多くの場合は、セッションの前段階の双方の合意(取り決めの決定)によって解決が可能です。言った言わないではなく、書面でのやり取りができるとさらに安心です。事前に用意しておきたい書類としては、このようなものです。
- サービス内容と料金を明記した契約書
:サービス提供の範囲と除外事項を明確に記載した書類 - 守秘義務契約書(NDA)
:セッション内容や知り得た情報を口外しない「守秘義務」の契約書類。クライアントの安心感につながる - 免責事項を含むサービス規約
:提供するサービスの範囲と、その責任範囲を明確に示した書類 - キャンセルポリシーを明記した書面(トラブル予防の基本)
:契約・入金以降のキャンセルの場合の判断方法、手続き方法を明確に示した書類
「契約書って難しそう…」と思うかもしれませんが、最初は簡易なものでもOKです。重要なのは、お互いの期待値や責任範囲を明確にしておくことです。専門のテンプレートを活用して、自分のサービスに合わせてカスタマイズするのがおすすめです。信頼関係が最も重要なコーチングでは、こうした基本的な枠組みがあることで、お互いに安心して関係を築けます。
Q6. 本業との両立って現実的?時間が足りないんだけど…
忙しい会社員がコーチング副業と両立するには、効率的な時間活用が鍵となります。「時間がない」という悩みは多くの方が感じるものですが、実際には週5〜6時間程度から始めることができます。
現実的な週あたりの時間配分の例:
- クライアントセッション:2時間(1時間×2名)
- 準備・振り返り:1時間(セッション前後15分ずつ)
- 集客・情報発信:1~2時間(SNS投稿、ブログ記事など)
- 勉強・スキルアップ:1時間(本業の通勤時間などを活用)
これを「ずっと継続し続ける」ことが成功に欠かせない要素です。現実的に続けるための具体的なコツも理解しておきましょう。
- ルーティン化する
:毎週特定の曜日・時間帯を副業の時間として確保する(例:火曜と木曜の20〜22時) - 朝活を活用する
:出勤前の1時間を集客活動や準備に充てる(例:6〜7時をSNS投稿タイム) - テンプレート化する
:準備やフォローメールなど、共通部分は雛形を作成しておく - オンラインツールを活用する
:Zoom、予約システム(Calendly等)、自動返信メールなど - 集中タイムブロックを設定する
:短時間でも集中して取り組める環境を整える
「週2時間で成果を出せるの?」と不安になるかもしれませんが、最初から多くのクライアントを抱える必要はありません。質の高いサービスを少数に提供することからスタートし、徐々に拡大していく方法が無理なく続けられます。
サトウは起業初期には、こんなことを決めていました。
・平日は準備と情報発信に集中し、実際のセッションは土日に集中させる
・通勤時間を活用して音声学習やメール返信を行う
・週に1回だけ「集中副業デー」を設け、コンテンツ制作やマーケティングを一気に進める
・サブスク型のコーチングではなく、集中プログラム型にして期間を区切る
本業と副業を長期的に両立させるコツは「無理をしないペース配分」です。燃え尽き症候群にならないよう、自分自身のエネルギー管理も大切にしましょう。
Q7. スキルも実績もないけど、副業コーチってできる?
「コーチングを始めたいけど、実績がない…」という不安は誰もが最初に感じるものです。しかし、40代会社員のあなたは、実は思っている以上に価値ある経験やスキルを持っているはずです。
最初のクライアントを獲得するための3つの実践的アプローチを以下に示します。
- 身近な人に無料または格安でサービスを提供する
- 友人や元同僚など、信頼関係がある人に協力してもらう
- 「練習のために協力してほしい」と正直に伝え、体験セッションを実施
- 体験セッションの感想や改善点をフィードバックしてもらう
- これらの経験から成功事例(実名でなくても可)を作っていく
- 特定のニッチ領域に特化する
- あなたの業界経験や得意分野を活かせるテーマに絞る
- 例:「40代エンジニアのキャリアチェンジ」「育児と仕事の両立」「管理職のストレスマネジメント」など
- 自分自身が乗り越えてきた課題こそ、最も価値を提供できる領域
- 専門性を絞ることで、「この人なら分かってくれる」という信頼を獲得しやすい
- 小さなコミュニティから始める
- オンラインコミュニティや勉強会で価値提供から始める
- 質問に丁寧に回答するなど、無償の価値提供から信頼を築く
- 同じ悩みを持つ人が集まる場所で自然な形で存在感を示す
- 相談に乗る中で「もっと詳しく話せますか?」という流れを作る
そして、成功するコーチが実践しているのは「小さく始めて成長する」行動パターンです。大きなゴールを描きつつ、行動レベルでは詳細に描いて進めていっています。
- 最初の3ヶ月
:2~3名の「モニター」クライアントでフィードバックを集める- 期間と目標を明確に設定(例:「3ヶ月間で〇〇を達成するためのサポート」)
- 通常価格の30%程度の「モニター価格」で提供
- セッション後の詳細なフィードバックを必ず収集
- 次の3ヶ月
:料金を設定し、5名程度のクライアントに提供- モニターからの推薦・紹介を活用
- 成功事例を具体的に(数値や変化を含めて)まとめる
- サービス内容と価格体系を整備
- 半年後
:実績とお客様の声 を集め、本格的なマーケティングを開始- クライアントの声(匿名でも可)をウェブサイトやSNSで紹介
- 無料セミナーや体験セッションでの集客を始める
- 自信を持った価格設定とサービス提供
重要なのは、完璧を目指すのではなく、実践しながら学び、改善していく姿勢です。あなたの経験や視点は、同じ悩みを持つ人にとって大きな価値になります。最初から「プロのコーチ」である必要はなく、「同じ悩みを乗り越えてきた先輩」としての価値提供から始めることが成功への近道です。
まとめ:コーチング副業を始める前に押さえるべきポイント
コーチング副業は、自分のスキルや経験を活かして誰かの成長を支援できる、やりがいのある選択肢です。今回解説した7つの注意点をチェックリストとして、安心してスタートしましょう!
- 会社にバレるリスクと対策を理解し、適切な情報管理を行う
- 就業規則を確認し、競業避止義務に抵触しない安全なラインを見極める
- 法的な境界線を把握し、コーチングの本質を守りながらグレーゾーンを避ける
- 税金と確定申告の基本ルールを押さえ、20万円の壁を意識する
- トラブル対策として最低限の契約書を用意し、期待値のすり合わせを徹底する
- 現実的な時間配分(週5〜6時間)で無理なく続けられる仕組みを作る
- 小さく始めて、実績と信頼を積み上げていく「漸進的成長」を実践する
大切なのは、一歩踏み出してみること。あなたの経験や視点は、誰かにとって必要な光になるはずです。
「今日から始められる小さな一歩」として、まずは自分の強みとコーチングで提供できる価値を3つ書き出してみましょう。そして、身近な人に「体験セッションをさせてほしい」と声をかけてみるところから始めてみてはいかがでしょうか?